キャッシュレス決済の手数料は値上げされる?公式発表のある改定の流れ
結論:2021〜2026年に各社が公式に発表した手数料の改定は、中小事業者向けの「条件つきの引下げ」が中心です。負担が増えた例は、PayPayの有料化(2021年10月)と、STORESフリープランの1注文40円加算(2026年12月1日〜)です。
低い率は条件つきなので、売上が増えたり条件の判定で外れたりすると、実質的に「値上げ」と同じことが起きます。
次にやること:使っている(使う予定の)サービスの「条件外の率」と「判定の時期」を控え、年間の決済額が3,000万円に近づいたら見直します。
公式に発表された手数料の改定は?
各社の公式ページ・お知らせで確認できた改定を、古い順に並べます(Airペイの開始日は報道発表の日付で、公式の告知ページは今回確認できていません)。
| 時期 | サービス | 内容 | 負担 |
|---|---|---|---|
| 2021年10月1日 | PayPay | 決済システム利用料が有料に(ライトプラン1.60%・それ以外1.98%、税別) | 増 |
| 2023年4月28日 | Square | 対面のJCB 3.95%→3.25%、QUICPay 3.75%→3.25% | 減 |
| 2024年11月1日 | Square | Visa・Mastercardの対面決済、条件を満たす中小企業は3.25%→2.5% | 減(条件つき) |
| 2024年12月2日 | Airペイ | クレジット6ブランド 3.24%→2.48%(中小事業者、プログラムのエントリー制) | 減(条件つき) |
| 2025年1月16日 | Square | JCB・AMEX・Diners・Discoverの対面決済も条件内2.5% | 減(条件つき) |
| 2026年12月1日 | STORES | フリープランの決済手数料に1注文あたり40円を加算 | 増 |
PayPayの有料化はどんな内容だった?
PayPayの加盟店向けお知らせでは、「2021年10月1日(金)発生の取引から決済システム利用料が有料となります」としています。現在の導入費用のページでは次のとおりです。
- PayPayマイストア ライトプラン加入:1.60%(税別)。ライトプランは初期費用・月額とも1店舗1,980円(税別、トライアルキャンペーンあり)
- 加入しない場合・制限プラン:1.98%(税別)
- 入金:月1回(月末締め・最短翌日)なら振込手数料無料
QRコード決済だけを直接PayPayと契約するか、Airペイなど複数の決済をまとめるサービス経由で受けるかで率が変わります(Airペイ経由のPayPayは3.24%税込)。
STORESの40円加算は誰に関係する?
STORESの料金一覧には「2026年12月1日より、フリープランの決済手数料に1注文あたり40円が加算されます」とあります。料金一覧からは対象の範囲(ネットショップの注文か、対面の決済も含むか)を特定できませんでした。
もし対面決済にも当てはまる場合、客単価が低い店ほど影響が大きくなります。たとえば客単価1,000円なら40円は4%に相当します。フリープランを使っている・使う予定の店は、公式のよくある質問・お知らせで対象を確認し、スタンダードプラン(月3,300円、クレジット1.98%〜)との比較をしてください。
当サイトの計算ツールでは、この40円は対象が不明のため計算に入れず、「+計算に入らない費用あり」として表示しています。
条件つきの率が外れると、いくら変わる?
月の売上500万円・キャッシュレス60%(年3,600万円)の店で、中小向けの率が使えない場合の決済だけの比較です。
| 順 | 決済サービス・プラン | 1年目 | 2年目 | 決済手数料/年 | 振込手数料/年 | 注意 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | stera pack(三井住友カード) stera pack(端末0円・14か月目から月3,300円) | 926,520円 | 926,520円 | 921,240円 | 5,280円 | スモールビジネスプラン(Visa・Mastercard1.98%、JCB等2.48%)は中小企業の定義に当てはまる小規模事業者向け(たばこ店・百貨店・旅行代理店・宿泊施設・運輸・不動産は対象外)。判定は直近1年のVisa・Mastercard売上2,500万円で、超えるとスタンダードプランに変わり、その後は売上に関係なくスタンダードの料率(年3,000万円の条件はないため、Visa・Mastercard2,500万円以内なら1.98%で計算)/年間キャッシュレス売上3,000万円以上の計算のため2年目の月額は0円/月額は端末1台あたり。利用開始月から13か月目まで0円、14か月目から発生(三井住友銀行の紹介ページ。三井住友カードのページは「1年目無料・2年目以降」と表記)。直近1年の累計キャッシュレス売上3,000万円以上なら永年無料/契約期間は3年。解約申出から45日以内に端末を返却しないと端末1台あたり最大88,000円(税込)の違約金 |
| 2 | STORES レジ+STORES 決済 スタンダードプラン(年間契約・月3,300円) | 1,149,840円 | 1,149,840円 | 1,110,240円 | 0円 | 中小企業に当たらない、または年間キャッシュレス決済額3,000万円以上のため通常料率で計算/年間契約の月額換算(月契約は3,960円)。決済端末は年間契約で1台無償貸出、2台目以降は購入 |
| 3 | Airレジ+Airペイ Airレジ(0円)+Airペイ | 1,166,400円 | 1,166,400円 | 1,166,400円 | 0円 | 中小企業に当たらない、または年間キャッシュレス決済額3,000万円以上のため通常料率で計算/カードリーダーは0円スタートプログラム(申込月の6か月後の月末までに審査通過)で0円。通常は27,720円 |
| 4 | Square(POSレジ+決済) Square POSレジ(0円)+Square リーダー | 1,174,980円 | 1,170,000円 | 1,170,000円 | 0円 | 中小企業に当たらない、または年間キャッシュレス決済額3,000万円以上のため通常料率で計算 |
| 5 | スマレジ+スマレジ・PAYGATE スタンダード(0円)+PAYGATE+計算に入らない費用あり | 861,840円 | 822,240円 | 782,640円 | 0円 | PAYGATEのクレジット1.98%〜は条件あり(直近1年のVisa・Mastercard合計売上2,500万円以内、中小企業の定義に該当、対象外業種でない、上場企業グループ・上場企業のFC加盟店でない、新規加盟店)。年間3,000万円の条件は公式ページに記載がないため、Visa・Mastercard2,500万円以内なら1.98%で計算。ブランド別の料率は問い合わせ/振込手数料の金額が公式ページに記載なし(計算に含まず)/スタンダードは1店舗のみ・端末の追加不可/PAYGATEの決済端末は料金欄に39,600円(税込)、別の箇所に「端末0円」の案内あり(条件は公式で要確認) |
| 6 | 楽天ペイ(実店舗決済) ライトプラン(月額0円)+計算に入らない費用あり | 1,167,120円 | 1,167,120円 | 1,167,120円 | 0円 | 中小企業に当たらない、または年間キャッシュレス決済額3,000万円以上のため通常料率で計算/振込手数料の金額が公式ページに記載なし(計算に含まず)/決済端末の価格が公式ページに記載なし(計算に含まず)/決済端末(楽天ペイ ターミナル・カードリーダー)の価格は公式ページに記載なし |
| — | PayPay(QRコード決済) PayPayマイストア ライトプラン(1.60%税別・月1,980円税別)QRのみ | 186,714円 | 184,536円 | 158,400円 | 0円 | 中小企業に当たらない、または年間キャッシュレス決済額3,000万円以上のため通常料率で計算/QRコード決済の分だけを計算(クレジット・電子マネーは別の決済サービスが必要)/初期費用・月額は1店舗あたり1,980円(税別)。トライアルキャンペーンで0円になる案内あり(計算に含まず) |
条件内の月100万円の例(計算ツールで確認できます)と比べると、年3,000万円を条件にしているサービスは率が3%前後に上がり、各社の差が小さくなります。stera packとスマレジ・PAYGATEはVisa・Mastercardの年額(この例では約1,620万円)で判定するため、中小向けの率のまま計算しています。Squareは年間3,000万円以上でカスタム手数料、三井住友カードは料率の相談の対象になる場合がある、と公式ページに書かれています。
値上げ・条件変更に備えて確認することは?
- 条件外の率:表の「通常」「スタンダード」の率を控える。
- 判定の基準と時期:stera packは直近1年のVisa・Mastercard売上2,500万円で判定し、1月・4月・7月・10月に判定、3か月後に変更。
- エントリーの要否:Airペイのプログラム、Squareの中小企業向け料率は登録が前提。
- お知らせの受け取り先:加盟店向けのメールを、見落とさないアドレスにする。
- 乗り換えの手間:端末の返却・解約金(stera packは45日以内に返却すれば違約金なし)、レジとの連携のやり直し。
手数料の率だけで乗り換えていい?
率の差が0.3%でも、年間720万円の決済なら約2.2万円です。乗り換えには、端末の買い直し、レジとの連携設定、入金口座の変更、スタッフの操作の慣れといった手間がかかります。年間の差額と手間を比べ、比較表で入金・端末も含めて判断してください。手数料の相場は「キャッシュレス決済の手数料はいくら?」にまとめています。
改定のお知らせを受けたら何を確認する?
手数料・月額の改定のお知らせが届いたら、次の順で確認します。
- いつから:適用開始日。締め日・入金日との関係(月の途中から変わるか)
- 誰が対象か:プラン・業種・年間決済額・申込時期で対象が分かれることが多い
- 何が変わるか:率・月額・1件あたりの加算・振込手数料
- 年間でいくら増えるか:自店の年間決済額・件数で計算する(1件あたりの加算は件数で効く)
- ほかの選択肢:同じ会社の別プラン(STORESならスタンダード)、他社への乗り換えの手間
1件あたりの加算は、客単価が低い店ほど負担が重くなります。たとえば1件40円は、客単価800円なら5%、3,000円なら約1.3%に当たります。率の比較だけでなく、件数でも計算してください。
値上げの影響を小さくするには?
- 条件つきの率(中小向け)のエントリー・登録を忘れずにする
- 年間の決済額が条件の上限に近い場合は、通常料率の比較もしておく
- 決済の内訳(クレジット・電子マネー・QR)を毎月確認し、手数料の高い手段の比率を把握する
- 複数の決済サービスを併用している場合は、入金・明細の管理の手間も費用として考える
手数料の相場と各社の条件は「キャッシュレス決済の手数料はいくら?」でまとめています。
年に一度の見直しはいつやる?
手数料の条件は年間の決済額で判定されることが多いため、年に一度、次の時期に見直すと分かりやすいです。
- 決算・確定申告のあと:1年分の決済額・手数料の合計が出るタイミング。手段別(クレジット・電子マネー・QR)の割合も確認。
- 契約の更新月の前:STORESスタンダードなど年間契約のサービスは、更新の前にフリーとの比較をする。
- 条件の判定月の前:stera packは1月・4月・7月・10月に判定し、3か月後に率が変わる。
見直しでは、計算ツールに1年分の実績(月平均の売上・キャッシュレス比率・内訳)を入れて、今のサービスとほかのサービスの差を出します。差が年数万円なら乗り換えの手間に見合わないこともあります。
よくある質問
- キャッシュレスの手数料は値上げされている?
- 今回確認できた公式発表では、2021年10月のPayPayの有料化と、2026年12月1日からのSTORESフリープランの1注文40円加算が負担増の例です。一方、SquareとAirペイは中小事業者向けにクレジットの率を引き下げています。
- PayPayはいつから手数料がかかる?
- 2021年10月1日発生の取引から決済システム利用料が有料になりました。PayPayマイストア ライトプラン加入で1.60%、加入しない場合1.98%(いずれも税別)です。
- STORESの40円加算はいつから?
- STORESの料金一覧に「2026年12月1日より、フリープランの決済手数料に1注文あたり40円が加算されます」とあります。対象の範囲(ネットショップの注文か、対面決済も含むか)は料金一覧からは特定できないため、公式のよくある質問で確認してください。
- 手数料の改定はどこで知る?
- 各社の加盟店向けのお知らせ・メール・管理画面です。条件つきの率は、年間決済額などの判定で自動的に通常の率へ戻ることがあるため、判定の時期(stera packは1月・4月・7月・10月)も確認しておきます。
出典・確認した一次情報
- PayPay 決済システム利用料とキャンペーンのお知らせ:https://paypay.ne.jp/merchant/info202110/
- PayPay 加盟店 導入費用:https://paypay.ne.jp/store/cost/
- Square ヘルプ JCB・QUICPayの決済手数料改定:https://squareup.com/help/jp/ja/article/7999-updated-jcb-and-quicpay-payment-fees
- Square ヘルプ 決済手数料:https://squareup.com/help/jp/ja/article/5068
- Airペイ:https://airregi.jp/payment/
- Impress Watch「Airペイ、クレカ手数料を2.48%に引き下げ 12月から」(2024年10月25日・報道):https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1634404.html
- STORES 料金一覧:https://stores.fun/pricing
- 三井住友カード 加盟店プラン:https://www.smbc-card.com/kamei/start/plan.jsp